人と話した日の帰り道。さっきの会話を頭の中で再生して、「あそこで、なんであんなことを言ったんだろう」と考えてしまう。会話のあとに自分の言動を振り返り続けるのは、多くの人に覚えがあることだと思います。
僕も、帰り道はいつも一人で反省会でした。布団の中で何度もつぶやき、翌朝になっても恥ずかしさが消えない。デートの帰り道でも、LINEを送ったあとでも、反省会は始まりました。
この記事のテーマは、その反省会が「どれくらい当たっているのか」。心理学の研究と、反省会との付き合い方をまとめました。
先に結論:相手の好意は、思っているより高いことが多い、という研究がある
最初に、この記事の結論から。
- 会話のあと、人は相手が自分をどれくらい好意的に見たかを、実際より低く見積もりやすいと報告されています
- この傾向は「好意のギャップ」と呼ばれ、初対面の会話だけでなく、数か月続く関係でも見られたそうです
- 反省会をゼロにする必要はありません。ただ、反省会の結論は割り引いて聞いていい、と僕は考えています
僕の場合、反省会の根っこには、相手に嫌な思いをさせたくない気持ちがありました。その気持ちまで否定しなくて大丈夫です。
「好意のギャップ」という研究
会話の相手は、思ったより好意的だった
アメリカの心理学者エリカ・ブースビーらは、2018年に「好意のギャップ」についての論文を発表しました。
研究では、会話を終えた人たちに、相手がどれくらい自分を好ましく思い、一緒にいて楽しんだと思うかを答えてもらいました。そのうえで、相手が実際にどう感じていたかと比べています。
結果は、平均すると、相手からの好意や楽しさを実際より低く見積もっていたというものでした。つまり、相手は自分が思っているより、自分のことを好ましく思っていたのです。
場面を変えても、時間がたっても見られた
この傾向が確かめられたのは、次のような場面です。
- 実験室で、初対面どうしが話したとき
- 大学の新入生が、寮のルームメイトと知り合っていくとき
- 一般の人たちが、自己啓発系のワークショップで知り合ったとき
会話の長さが違っても見られ、寮のルームメイトの関係では数か月続いたと報告されています。論文の結びを訳すと、「人は会話のあと、自分が思っている以上に好かれている」という内容です。
もちろん、すべての会話で相手が好意的だったという意味ではありません。平均すると、そういう傾向がある、ということです。それでも、反省会の結論をそのまま信じなくていい理由にはなる、と僕は思いました。
反省会が厳しくなりやすいのはなぜか
ここからは研究の結論ではなく、僕の考えです。
反省会の材料は、自分の頭の中にあるものだけです。言えなかったこと、噛んだこと、間が空いたこと。自分の失敗は、細かく覚えています。
一方で、相手がどう感じていたかは、外からは見えません。見えない部分を、自分への厳しい評価で埋めてしまう。それが、反省会がいつも厳しい結論になりやすい理由ではないかと思っています。
反省会との付き合い方:5つの小さな工夫
僕の場合、反省会を無理にやめようとすると、かえって考えてしまいました。ここで紹介するのは、反省会の中身を少しだけ変える工夫です。
1. 「相手が話していたこと」を1つ思い出す
自分の失敗ではなく、相手が話していた内容を1つ思い出してみます。相手の話を覚えているなら、聞けていた時間もあったのだと、僕は考えるようにしています。
2. 「普通にできたこと」を1つ数える
挨拶ができた、相槌を打てた、最後まで席にいた。小さなことで構いません。失敗の数だけでなく、できたことの数も数えてみる。
3. 「事実」と「想像」を分けて書く
紙やスマホのメモに、反省会の中身を書き出してみる方法もあります。「話の途中で3秒黙った」は事実です。「相手はあきれていたはず」は想像です。分けて書くと、反省会の結論の多くが想像でできていることに気づくかもしれません。
4. 反省会には時間を決める
「帰り道の駅まで」など、反省会の時間を区切ってみる方法があります。時間が来たら、別のことに意識を移す。それだけです。
5. 答え合わせは、一人でしない
相手がどう思ったかは、一人で考えても確かめられません。答え合わせは、次のやりとりの中で自然にわかる程度で十分だと思います。相手の顔色を探りすぎなくて大丈夫です。特に何も言われなければ、それがひとつの答えです。
送ったLINEの反省会については、こちらに書きました。→ LINEの返信に悩みすぎる人へ
無理に笑いを取ろうとして反省会を重ねていたころの話は、こちらです。→ 無理に笑いを取ろうとして、失敗し続けた僕の話
よくある質問
会話のあとに反省ばかりしてしまうのは、おかしいですか?
おかしなことではないと思います。研究では、会話相手からの好意を低く見積もる傾向が、平均すると見られたと報告されています。反省してしまう自分を、さらに責めなくて大丈夫です。
本当に嫌われていたら、どうすればいいですか?
好意のギャップは平均的な傾向で、すべての会話に当てはまるわけではありません。気になる場合は、一人で結論を出さず、次の会話で相手の様子を見てみてください。
反省会が止まらず、眠れない日が続きます
次のようなときは、ひとりで抱え込まないでください。
- 反省会で眠れない日が、2週間以上続いている
- 仕事や学校、生活に支障が出ている
- 気分の落ち込みが強い日が続いている
心療内科・精神科、お住まいの市区町村の相談窓口などに相談することも選択肢のひとつです。